カテゴリー「農産物」の記事

ゴーヤ

                    「信州の夏の野菜  栽培農家を訪ねて   

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                                    信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                          特集 <2004.8/12号掲載>
                       

夏の信州は野菜王国。新鮮でおいしい旬の野菜が簡単に手に入る恵まれた環境だ。
冷涼な気候が育てる野菜は高品質で健康的。命を育む生産の現場を知ることで、農業のあるべき豊かさと大切さに触れようと、ゴーヤーとチンゲンサイの生産者を訪ねてみた。

ゴーヤー

ニンニクやウナギと並ぶ夏のスタミナ源に仲間入りしたゴーヤーは、この夏も人気沸騰。長寿の地、沖縄を代表する夏のヘルシー野菜だ。

沖縄との友好が栽培のはじまり
ゴーヤーはここ数年、沖縄、・鹿児島両県以外の各地でも栽培者が増えている。しかし、御代田町の伍賀では、驚くことに平成9年(1997年)から栽培を始めていたという。

JA佐久浅間伍賀支所は、当時、沖縄の農協と姉妹提携し、沖縄でのレタス栽培を指導していた。

研修者を受け入れる中で、夏に空くハウスの有効利用としてゴーヤーの施設栽培が始まった。
今でこそ栽培法も指導できるようになったが、栽培当初はまるで手探り状態。「まずはやってみよう」の出発だった。

ゴーヤーはニガウリ、蔓(つる)レイシとも呼ばれる。

「ゴーヤーと呼ぶのは沖縄だけ」と原産地の誇りをもつ沖縄。

御代田町では、沖縄との友好が続き、毎年直送された苗が生産者の元に届く。生粋の沖縄生まれのゴーヤーが信州の大地で育っている。

初年度から栽培を続けているのは柳沢初夫さん(67歳)。
県内でゴーヤーを出荷する栽培者としてはおそらく最古参だろう。

柳沢さんのビニールハウスには2列に植えられたゴーヤーが並ぶ。
つるによる生育が旺盛で、害虫にも強いので栽培にあまり手は掛からないようだ。
風通しをよくして、まんべんなく日差しが当たるように、余分な葉とつるを取り除くのが栽培のポイント。
日差しが強く、緑が濃いと苦味も増すらしい。沖縄と同じ苗でも育つ地で苦味が違うという。
収穫したゴーヤーは流通の時いぼが痛まないように、発泡スチロールの網目のノバキャップを一本一本にかぶせ、採りたての品質を守っている。 
相場に左右される野菜の販売。ブームに乗って生産過剰にならないように、家庭でのゴーヤー料理の普及による、消費の安定が期待されている。

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柳沢初夫さんと喜乃江さんご夫婦。

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仕立て方を変えて、理想的なツルのはわせ方を試している

農業経営の安定化のために
御代田町小沼にも3、4年前からゴーヤー栽培が広がった。ここは、浅間山ろくに広がる高原野菜の大産地。
竹内英輝さん(41歳)は、レタス、キャベツ、ブロッコリーなどの栽培の合間に、ガラスハウスでゴーヤーの作業をする。
夏は猫の手も借りたいほどの忙しさだが、やはり、夏のガラスハウスは有効に利用したいという。
今年、7月にひょう害に遭ったように、農業は絶えず天候や相場による収入の不安定と背中合わせ。
作付けをずらして育て、どの時期にも収穫期をおくことで、収入と労力の安定化を図っている。

農業には経営感覚、栽培技術、強じんな体力などすべてが求められ、最近は農薬や食品の知識まで必要とされる。
竹内さんの年代は、高齢化の中で若手の生産者を率いて次の農業を担う世代。

気負い無く農業を語る目に、継続してきた力と誰もがオンリーワンである農業の姿を垣間見た。

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レタスやキャベツの収穫を早朝終わらせてからゴーヤーの収穫にはいる竹内さん。

ゴーヤーの強力パワーで夏バテ解消
ゴーヤーが健康食、長寿食といわれるゆえん。それは、豊富なビタミンCや葉酸などの働きと、脂溶性物質「チャランチン」の血糖上昇を妨げる働きが大きいといわれる。また、種ごとお茶などで飲むと、ガン細胞と闘う物質が活性化するともいわれている。
   
新しい味覚――――「苦味」
ゴーヤーの苦味は、ウリ科特有の「モモルデシン」によるもので、食欲増進効果をもつ。味覚には、甘味・塩味・苦味・酸味・旨味があり、最近人気の辛味は味覚ではなく、痛覚を刺激するもの。
日本の苦味はほろ苦い山菜や、ビール、コーヒーなどだが、ゴーヤーの原産地東南アジアは苦味を味わう先進国。
舌の奥の“心地よい苦味”を感じる部分でゴーヤーのおいしさに開化してみよう。

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はなのさんおすすめのお茶うけ
今年米寿を迎えた柳沢さんの母、はなのさんが夏になると毎年作るゴーヤーのピール。苦味が苦手な方でも、ほろ苦さで味わえる逸品。
たっぷり作って密閉保管し、冬はお湯を注いだ健康飲料でも楽しめる。作り方は、縦半割りで細切りにしたゴーヤーに砂糖をまぶして2.3時間置き、火を強火から中火、弱火に変えながら煮る。バットなどにグラニュー糖を敷き、ゴーヤーがくっつかないように一本ずつ転がしてまぶす。

【ゴーヤーサワー】 ゴーヤーをすりおろし、ハチミツ、レモン、焼酎、炭酸水を加える。
【イカロールフライ】 ゴーヤーを輪切りにして中をくり抜き、細かく切ったロールイカをフードプロセッサーで練り、おろしショウガ、味噌、みりんを加えたものを詰めて、フライまむたはてんぷらにする。
【ゴーヤピール】 作り方は上記

「ゴーヤーとワカメの元気盛り」  (写真右下)
ゴーヤーを縦半割りにして種とワタを除き、細切りにして強めの塩でもむ。水洗い後水気を取り、片栗粉をまぶしてから揚げにする。(つまみにもなる)
戻したワカメ、細切りのパプリカ(赤)、春雨をいためてしょうゆで味付けし、ゴーヤーと盛り合わせる。塩と油、熱は苦味を取り除く。塩漬け時間と塩抜きで辛さを加減。

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今、地元がおいしい…②「ミニトマト」

いま、地元がおいしい…  産地で選ぶ夏野菜の主役たち                                                  
                       信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                       特集 <2001.8/9号掲載>

ひと粒ひと粒に心をこめて
ミニトマト(佐久産)
                        
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佐久市三塚でミニトマトを栽培する武田辰雄さん。
昨年の農業白書によると就業人口の一番多い年齢層は70~75歳だが、そのひとりに該当する。

佐久市は、農業従事者の高齢化により、体に力の負担のかからない作物として、トマトの栽培農家が多い。
特に、ミニトマトは原種に近いため、生命力が強く、病気にかかりにくい品目として人気が高い。

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武田さんは、毎朝ハウスに入るとトマトの最先端の茎に目を向ける。
長年の経験から、色の濃さ、葉のまわりについた露の様子で樹の調子や根の傷みが解るという。

ハウスの入り口で、ふと土の中に排したパイプに目が引き寄せられた。
それは土の中への潅水用パイプだという。
その時、初めて環境条件をいかした栽培に気づく。

ここ、泉田地域は、その名の通り、水に恵まれた里。至る所に水路が流れ、四季を通じて水温の安定した千曲川の伏流水が流れている。

水田はもとより、佐久鯉を育てる池にも流れ、この地にすむ人々はこの水で育った作物を食し、長寿を競っている。
水の恩恵を生かした省力化。このパイプによって3日に一度、わずか15分で潅水が終わる。
生育が早く、目が離せないことがミニトマトの栽培で手間のかかる点である。良品を栽培するための芽整備と、食べ頃の完熟品の収穫をこまめに行うことは不可欠だ。
潅水の省力化は、これにかかる時間を負担なく生み出している。

トマトの栄養   1_10
トマトは、赤い色“リコピン”によるガン予防効果で一躍脚光を浴びた。
健康野菜の優等生で、カリウムが体内の余分な塩分を外に出し、高血圧予防にも効果的。細胞を丈夫にし、胃や心臓も守ってくれる。

栽培のコツ
まず、病気に強く、味や品質のよい実を育てるためには、有機質をいれた土づくりが大切だ。
定植した苗はどんどん伸びるので、茎を支柱に結び、余分な芽をとる“芽欠き(横芽とり)”をしながら育てる。

潅水に注意し、実がなりだしたら樹勢を見ながら追肥をする。
一般家庭でも雨よけの覆いができれば理想的。風通しをよくし、病気を防ぐために、茎の下部の“葉かき”をすることも重要である。

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わが家の食育「お家で作ろう! 食べよう」       
                        

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地元産がおいしい…みずみずしい夏の味「メロン」

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                信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                            <2003. 8/ 7号掲載>

夏の信州は旬の味覚の宝庫。地元の生産者の作物を地元で消費する「地産地消」は、“顔の見える販売”としての安心感があります。
トレーサビリティ(生産履歴)を語る時にもこの信頼関係は大きな支え。地元消費が増えれば、生産者の意欲も増し、産地づくりの底力となり、生産者の拡大や地域の環境づくりに役立つでしょう。
佐久平のアールスメロン生産、その周辺に焦点を当ててみました。

夏の健康づくりに利尿効果

夏は食欲が落ちて栄養のバランスも崩れ、清涼飲料水などをガブガブ飲んでしまいがち。水分の補給は、ミネラルを含む昔ながらの麦茶やフルーツなどが理想的だ。
ウリ科のメロンやスイカに含まれる“カリウム”は、尿と一緒に余分な塩分を排出する働きがある。むくみをとったり、体を冷やす作用があるので、快適な夏を過ごす食のアイテムのひとつになる。 

メロン   (御代田町)(小諸市)

キャベツやハクサイ、レタスの畑が一帯に広がる御代田町小沼地区。雄大な浅間山をバックに、竹内信一さんのガラス温室が並んでいる。約20年前に建てた立派なハウスだ。

当時、市場で働いていた竹内さんは農業の道に入り、ガラス温室で栽培する品目を考えていた。
流通する様々な作物の動向に詳しいことも助けとなり、高級品だったメロンに着目した。「飛騨の高山で栽培されている」と聞いていたが、竹内さんは実際に栽培し、手応えを感じた。

周囲の心配をよそに、最高級のアールスメロンを栽培し始めた竹内さんは、大きく実ってきた玉の変化に驚いた。「メロンが割れて赤い汁が出た。」 メロンはネットの亀裂が入る時わずかに汁を出すのだ。
高級メロンは、1本に1玉だけに養分を集中させて大きく実らせる。味の芸術品”といわれるように、味とネットのバランスが価値を高める。 
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竹内さんは、毎朝葉を見て潅水の量を調整し、天候による温度管理を窓の開け閉めでこまめに行う。高原ならではの朝夕の寒暖の差が、おいしいメロンづくりへの好条件となっている。今は収穫最盛期。毎日メロンと向かい合って収穫適期を見極めている。







ギリシア語でメロンの語源は「リンゴのようなウリ」。ウリ科で品種も多いが、アールス系は香りが強く味もよく、メロンの最高峰とされる。

  
<蜂の受粉> 
花が咲くとハウスの中に蜂の巣箱を置く。蜂は1週間から10日間でまんべんなくメロンを受粉させる。
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<メロンのネット> 
ネットは最初、縦に割れ目のように入り、次第に横にも盛り上がりながら入り、平均した網模様になる。
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実を厳選する摘果
アールスメロンは、受粉した小さな実を3~4玉残して摘果し(摘み取り)、さらにピンポン玉位になった時、形の良い1玉だけにして実らせる。
摘果したメロンは、浅漬け、粕漬けで歯ざわりのよい食感を愉しめる。
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プロジェクト
さくだいら

  「最高級のメロンをつくろう!」 男たちは高原での栽培に挑んだ

意欲的にアールスメロンの栽培をする生産者が徐々に増え、産地化への夢を持った時、ひとつのプロジェクトが誕生した。
生産者とサポートする組織や技術者による作業分担。それは、一丸となって“無から有を生み出す”挑戦だった。
  
栽培技術の確立を中心となって担当したのは、当時長野県佐久農業改良普及センターで技術指導をしていた梅香栄司さん(臼田町在住)。
一般の品種とは栽培方法の違うアールスメロンの安定した栽培を確立するために、様々な栽培試験を重ねていった。
試験区をとり、生長を写真に記録しながら、細かなデータを採る。栽培に失敗は許されない。「寝ても覚めてもメロンだった」と、梅香さんは当時を懐かしそうに話した。

作物の栽培には、適地適作といわれる環境条件、環境にあった品種、産地化できる栽培技術、そして、産地を継続するための生産者、販売技術が必要となる。
自信を持って栽培する竹内さんたちのリーダーシップは核となり、種苗会社、JAの技術指導、販売戦略、行政の支援も大きな力となった。

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定年後、地域で“ほたるの棲める環境づくり”に取り組む梅香さん。今年、交流の場となる公園の完成を実現させた。






 

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地元産がおいしい…みずみずしい夏の味「スイカ」

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                                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                            <2003. 8/ 7号掲載>

夏の信州は旬の味覚の宝庫。生産者はそれぞれに思いを持って、収穫の時を迎えている。
地元の生産者の作物を地元で消費する「地産地消」は、“顔の見える販売”としての安心感がある。トレーサビリティ(生産履歴)を語る時にもこの信頼関係は大きな支えだ。
地元消費が増えれば、生産者の意欲も増す。地産地消は、産地づくりの底力となり、農業従事者の拡大や地域の健全な環境づくりに役立つだろう。


夏の健康づくりに利尿効果
夏は食欲が落ちて栄養のバランスも崩れ、清涼飲料水などをガブガブ飲んでしまいがち。水分の補給は、ミネラルを含む昔ながらの麦茶やフルーツなどが理想的だ。
ウリ科のメロンやスイカに含まれる“カリウム”は、尿と一緒に余分な塩分を排出する働きがある。むくみをとったり、体を冷やす作用があるので、快適な夏を過ごす食のアイテムのひとつになる。 


スイカ
スイカの大産地は、鳥取、山形、千葉県、県内では波田町などだが、地元佐久にも産地があることを知り、佐久市猿久保の秋山孝さんを訪ねた。
工業地帯や市街地が隣接する同市中心部で農地を守り続けている。

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秋山さんに会うと、まず収穫したスイカを勧められた。
今年初めての味、夏が来た。
秋山さんは糖度計で甘さを調べたところ、糖度11.3。甘い。
気温が30℃以上になるとスイカが売れると言うが、うだる暑さの中で冷やして食べると、体が最高に喜ぶ味だ。
秋山さんは今年の初出荷を前に、味ののりを気にしている。

スイカの身上は、甘さとみずみずしさだ。
水はけのよい畑が適地。1株から4本のツルを這わせる(つる引き)。露地栽培なので7枚目毎の葉元の花を受粉させ、棒を立てて受粉日の印をする。メシベにまんべんなく花粉をつけないといびつな玉になるという。受粉は実に細かな作業だ。
受粉して実が大きく生育し始めると、一玉一玉の下に台座をおき、玉まわし(スイカの位置を時々変えて、日差しを均等に当てる)で黄色い部分を無くす。
重いスイカの収穫は重労働だ。適正な受粉や横芽をとる作業も味と品質をよくするためには欠かせないという。

Photo_7  スイカ雑学
スイカに含まれるL-システインやグルタチオン、シトルリンは、紫外線で傷んだ肌の回復やがん予防、腎臓病、糖尿病、心臓病などの改善に効果的。
加工品としては、果汁を煮詰めて作る「スイカ糖」や摘果した実を辛く漬けた山形の“ぺそら漬け”がある。和歌山特産「源五兵衛」は白い実で奈良漬にされる。

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スイカは原産地をアフリカのカラハリ砂漠だとする説が強く、水はけの良い地を好む。
英語で「ウォーターメロン」というように、成分の90%が水分、残りは糖分だ。



スイカクッキング

スイカの実の白い部分を食べて、エコクッキング(環境に配慮した食生活)の実践を。

【スイカポンチ】
スイカを半分に切って中をくり抜き、一部を立方体に切って具にする。
残りはジュースにして、赤ワインを加える。半割スイカの器にジュース、好みのカットフルーツをいれる。(大玉で赤ワインは50cc位)
   
【豚肉とスイカの煮物】
スイカを食べた後の皮の外側をむき(1/4玉)、白い部分を食べやすく切る。
豚肉の角切り(200g)を油でいためてスイカを加え、酒(大さじ3)、だし汁(2カップ)、みりん(大さじ1)、砂糖(大さじ1)で味付けする。
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【貝とスイカの酢のもの】
スイカの実の白い部分をせん切りにして塩でもみ、青柳やゆでたエビなどと三杯酢であえる。

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今、地元がおいしい…③「ズッキーニ」

                信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                       特集 <2001.8/9号掲載>              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

収穫の満足と夢を育む
ズッキーニ (佐久産) Dsc02652

小海線に乗り、沿線の風景を見ていると、小諸から佐久に向かう途中の中佐都駅手前右手で見なれぬ作物の畑を目にする。ズッキーニの畑だ。
イタリアやフランス料理で紹介され、ここ数年で急激に需要の増えた新顔野菜である。
驚いたことに、長野県は収穫量全国第2位。
気候的な収穫期間の違いで宮崎県の次に続くが、作付面積はなんと全国第1位である。

北信が有力産地であるが、佐久市内で約30件が出荷栽培している。
サラリーマンが多いこの地域で、定年退職者や女性層の新規就農者に対して、栽培しやすく施設費のかからない作物としてJAが薦める有望野菜である。
産地によって様々なサイズで出荷されているが、JA佐久浅間では使いやすい20cm位の幼果が主流。皮がやわらかく、歯ざわりがフレッシュだ。

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今年還暦の原野芳美さんは、定年と共にズッキーニの栽培を始めて5年を迎える。
栽培のノウハウもつかみ、10aの畑の耕作にもようやく自信がつき始めたという。

ズッキーニは生育力が強く、まるで木のようになった太く固い茎からは、次々に花芽が育つ。
夜が明けた畑では、ハチが飛び交い、受粉の手助けをしている。
同じ規格で収穫するために、作業は朝夕2回。
JA佐久浅間に勤める藤子さんは、出勤前の早朝、芳美さんとの共同作業で夫を助ける。

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有機無化学肥料を施肥し、できるだけ低農薬で栽培したいという藤子さん。
アブラムシが誘因となるウドンコ病が大敵で、農薬をしっかり使えば安心だが、「安全で健康な作物づくり」と「消費者が好む品質・美観」との選択の中で、農薬はできるだけ少なくという哲学は守っている。

芳美さんに農業者になった感想を求めると、すく゛「楽しい」と答えが返ってきた。
定年後の夫婦の姿をほのぼのと感じさせる時であった。
  

ズッキーニ料理・アラカルト
ズッキーニはクセがないため、料理用途が広い。
独特の歯ざわりが持ち味で、皮がやわらかいので、むかずに使える。
イタリア語で「小さいカボチャ」を意味するが、料理はナスと同じように使うとおいしい。
生食は薄切りで。

[揚げる] 素揚げ、てんぷら、フリッター

[炒める] 豚肉、牛肉などとの炒め物全般に

[焼く]  チーズ焼き、マヨネーズ焼き、グラタン

[煮る] カレー、トマト煮

[生食] せん切りでサラダ

[漬物] 薄切りの塩もみ、浅漬け

ラタトゥイユ   南欧プロウ゛ァンス料理、野菜の炒め煮
① ズッキーニ(1/2本)、ナス(1本)、パプリカ(色は好みで1個分)、タマネギ(1/4個)、を1~1.5cmの角切りにする。

② トマト(1個)も同様に切る。

③ オリープ油(大さじ2)でタマネギを炒め、他の野菜も炒め、最後に②加えて炒めたら、
ローリエを入れて塩こしょうで調味し、15~20分煮込む。

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花ズッキーニのフリット
① 花ズッキーニの汚れはペーパータオルで取り、花びらを壊さないようにオシベとメシベを取る。

② モッツァレラチーズの水分をふき取り、花の大きさに合わせて切り、花の中につぼみのようにふっくらと入れ、溶け出さないよう口を閉じる。

③ 小麦粉に塩を少し入れて薄く溶き、②につけて揚げる。

※オリーブ油にペーストしたバジルとアンチョビー、塩こしょうを加えたソースを添えて。

★生産者の顔が見える販売 
ポストハーベストやダイオキシンなどの問題から、農産物の安全性が見直されている。誰が作り、誰が食べるか…。お互いの信頼がより深いものとなるのは、お互いを身近に感じる直売だろう。真土不二などの言葉を耳にし、大豆トラスト運動などが盛んになってきた流れには、昔と未来を大切にする新しい農業が見え隠れしている。

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高原の太陽と実りの豆…「ソラマメ」

豆類は現代の食生活を改善する理想的な栄養源です
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               信濃毎日新聞「週刊さくだいら」
                 特集 2007.8.9号掲載

最近、その機能性が評価されて消費が増えているマメ類。
外食や手軽な中食(テイクアウトやデリバリーなど)が増えている現代の食生活は、ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取が必要とされています。
共働きが増え、時間に追われる暮らしの様々な負担を考えると食の外部化も仕方がないこと。とはいえ、高カロリー、塩分過剰が引き起こす生活習慣病やメタボリック症候群は未然に防ぎたいものです。
家族の食生活にどんな問題点があるかを知り、栄養のバランスをコントロールするのが、家庭の食事。地元の農業生産物を知り、不足しがちな野菜や豆類、乳製品をしっかりとって健康な暮らしを守りましょう。            

冷涼な夏が適地適作の産地に
ソラマメ     (南佐久郡・南牧村)
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冷涼な気候を好むマメ類は、ハクサイ、レタス、キャベツなどの葉洋菜やトウモロコシとともに、高原の気候に適した栽培品目だ。
空に向かって実ることから、その名が付けられたソラマメは、12月の早期出荷の鹿児島から終盤の7月まで、産地を変えて旬が北上する。
鹿児島、千葉、愛媛、香川、茨城の各県が生産量上位5位の産地。7月上旬から出荷が始まる南牧村の栽培は、市場が品薄になる好適期に当たる。ビールがおいしい季節のスポット商品として、フレッシュ感で差別化ができそうだ。
ソラマメの品質評価は、実入り具合をL・M・Sそれぞれ3粒2粒1粒に分け、サヤの張りとツヤも含めて基準が決められる。昼夜の寒暖差が大きく、霧のまく南牧村の高原地帯は、野菜の甘さに定評がある。もちろんソラマメも甘さを増して、一味違うおいしさが生まれる。
冷涼な気候は害虫の消毒回数も少なく済ませられ、初期防除による低農薬栽培を可能にしている。
ソラマメの栽培とは一体どんなものなのか、興味津々。そこで、ソラマメの産地化に取り組む生産グループのキーマンを訪ねてみた。

産地化への挑戦――――守りから攻めへ
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訪ねた先は、南牧村農業委員会会長を務める高見沢英範さん。なるほど、産地を率いる要人ともいうべき存在だ。
開拓地であった南牧村では、1935年(昭和10年)、小海線が中央東線小淵沢駅と接続した全通と共にハクサイの関西出荷が始まり、高原野菜の産地となった。
この開拓の成功は全国の開拓地に大きな刺激を与えたという。
時代が変わり、野菜の消費が減っている現在は、ハクサイの需要の減少と高齢化による作業の負担もあいまって、大産地と言えどもハクサイからの転作が望まれている。

高見沢さんの伯父、高見沢武人さんは、南牧村にハクサイを導入した先駆者のひとりである。後継者となり“大地”という財産を引き継いだ高見沢さんも、次世代に続く農業を活気あるものにするため、自ら新品目栽培への挑戦を始めたのだ。
作業性を考えながら、できるだけ省力化できる栽培法を求める試行錯誤だが、より品質がよく経済性の高い、この地に合った栽培技術を確立するための研究に余念がない。
後継者に伝える開拓の心。高見沢さんが受け継いだ開拓者魂は、もうひとつ新たに取り組んでいるニンニクの栽培でも“攻めの農業”の支えになっている。攻めは、高原野菜の産地を守る大きな力になるだろう。

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妻恵子さんと研修生9名で8町(8ha)の畑の作業をしている。中国からの研修生も農業技術と日本語を学びながら、晩秋まで黙々と働く。

ソラマメは新鮮さが命。サヤから出したら、すぐにゆでる。Img_6080

お歯黒(黒い線)の反対側の皮に切り込みを入れてゆでると、皮をむきやすくなる。お歯黒側を持って押すと実が出る。

マメ豆知識
豆を食べてマメに健康で暮らす

インゲン、エダマメ、キヌサヤ、スナップエンドウ等など、マメ科の作物はいろいろ。マメ科は、キク科、ラン科に継ぐ大きなグループで、最近、健康野菜として知られてきたアピオス(アメリカホドイモ)もイモの様なマメ科の作物である。
 
栽培  
マメ科といえば知る人ぞ知る「根粒菌」。根粒菌が空気中の窒素を固定させて土に供給するため、昔は土づくりのためにマメ科植物を栽培して作物の養分として役立てていた。
田舎の原風景だったレンゲ畑もマメ科のレンゲ草を田に植えてすき込み、緑肥にするためのもの。窒素量や効き方には注意が必要な方法でもある。

栄養  
豆類はサヤとマメを食べるため、野菜と豆の栄養を効率よくとれる。サヤを中心に食べるマメ類はビタミン、ミネラル、食物繊維源となり、実を食べるマメは、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラル源となる。
また、穀物に不足する必須アミノ酸を含むため、穀物と豆の両方を食べるだけでもバランスのよい栄養がとれる。
生のマメは、シアン配糖体やサポニン、フラボノイド等の有毒物質を含むが、煮ると取り除かれ、発芽状態(モヤシ)になると分解されてホルモンやビタミンCに変化する。

夏はひんやり………冷蔵庫でおいしさづくり
   
夏の冷蔵庫は野菜をおいしくする調理道具。浅漬け、お浸し、煮浸し等などが野菜の歯ざわりや口当たりを良くし、持ち味を引き立てる。スープやデザートも冷製で。

ソラマメのポタージュ
バターで玉ネギをいため、堅めにゆでて皮をむいたソラマメ(150g)を加えていため、さらに小麦粉(大さじ2)を加えていためブイオンスープ(カップ3)、ローリエを入れて煮る。
ミキサーにかけてから牛乳(カップ1)を加えて火にかけ、塩コショウで味を調える。

ソラマメのムース 
ソラマメ(150g)をゆでて裏ごしし、牛乳(50㏄)、砂糖(大さじ1)と混ぜ、水(60㏄)でふやかした粉ゼラチン(10g)を加え、泡立てた卵白(2個)を混ぜて器に入れ、冷蔵庫で冷やす。

ソラマメの煮浸し
堅めにゆでて皮をむいたソラマメを薄味(しょうゆ・みりん同量)のだし汁で煮含め、冷蔵庫で冷やして味を含ませる。

揚げてサクッと、ビールの友に
     
ソラマメスナック 
皮から出して片栗粉と小麦粉半々で混ぜた粉を付けて揚げ、塩を振る。
   
ソラマメの中華炒め 
タマネギ、シーフードミックスをゴマ油で炒め、から揚げにしたソラマメを加えて、中華スープ、酒、塩、砂糖、片栗粉を混ぜたもので味ととろみをつける。

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特産品「信州リンゴ」をもっと食べよう

                信濃毎日新聞社 「週刊さくだいら」   
               特集 食生活を見直す Part6
                                     <2006.11.2号掲載>
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紅葉の山々とたわわに実ったリンゴの果樹園は、信州の秋の原風景。この秋、旬を彩るいろいろなリンゴを満喫していますか。特産品の原点は地産地消。身近な地域の大地と水で育った自然の恵みを食べて、住む人々が健康に暮らせることが食の本来の姿です。高齢化時代の健康生活にリンゴの機能性は欠かせないもの。自然と共に生きる環境を守ることは、生産の現場と作物を理解し、健全に暮らすことから始まります。

特産品ならではの多彩な品種
  
【早生種】 祝、シナノレッド、さんさ 

【中生種】 つがる、あかぎ、千秋、秋映、シナノスイート、紅玉、北斗、アルプス乙女、ジョナゴールド、ゴールデンデリシャス、陽光、シナノゴールド、王林、

【晩生種】 ふじ

          
★リンゴ三兄弟★
数年前から長野県が推奨している新品種。それぞれの個性を発揮し、新しい販路が拡大している。

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シナノスイート 
「ふじ」と「つがる」の交配。多汁で甘みが強く酸味は少ない。台風に強く、貯蔵性もよい。   

シナノゴールド 
 「ゴールデンデリシャス」と「千秋」の交配。歯切れがよく多汁で爽やか。一年貯蔵できる期待の品種。青森県では昨年より台湾輸出を試みている。

秋 映     
「千秋」と「つがる」の交配。甘みが強く多汁。当初9月の収穫だったが、深紅になる10月を収穫適期と知り、味の本領が発揮された。

*リンゴ栽培をささえる果樹試験場と篤農家
リンゴが特産品に育つ歴史の影に、栽培技術の前進と品種改良のたゆまぬ努力が存在する。
産地が次世代に継続躍進するために軽んじたりおろそかにしてはならないことのひとつに、農業の現場での試験研究がある。

■病害虫と闘う歴史
長野県でのリンゴ栽培は、風土になじみ明治時代に各地に広がったが、10年も経たないうちに病害虫の防除を強いられるようになっていた。明治三十年に農事試験場が発足してから、県内の篤農家のもとで命がけの農薬の委託試験が行われ、現在のSS(スピードスプレアー)による農薬散布への歴史をたどる。今年はポジティブリスト制の導入もあり、農薬散布による病害虫防除は、消費者が好む品質と安全性との狭間で生産者を板挟みにしている。

■技術が産地を安定化
リンゴ栽培で重要な技術のひとつに剪定がある。大正時代に青森の篤農家の技術指導を仰ぎ、剪定による技術革新によって生産性が驚異的に伸びたという。現在は、わい化栽培(樹を低く仕立てる)や草生栽培の研究(土の流亡防止や土づくりをするために適した草類を植える)、土着天敵や性フェロモンによる環境にやさしい害虫防除など、果樹試験場での研究により新しい技術が産地に提供されている。

■品種改良が産地を活性化
味のよさ、育てやすさの追求や品種改良の魅力を追って、リンゴの品種は変遷してきた。
「秋映」の開発者、小田切健男氏(享年57歳・中野市)も新品種への夢を追い求めた育種家のひとり。「千秋」の育てにくさを取り除き、「つがる」と味の良さをミックスする交配の可能性への挑戦だった。そして生まれた秋映は、標高が低い平地で寒暖の差が少ない地域でも色づきがよく、産地の収益性を高める品種となり、普及拡大、消費も拡大し始めた。25年の長き開発の歴史に今、光が当たっている。

北信  食べ比べて旬を満喫 
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長野から小布施、豊野に続く国道18号線、通称アップルラインのリンゴ園が続く一角に
アグリながぬまの直売所がある。リンゴは水害や霜に強いため、この低湿地帯は明治終わりの水害による米の凶作を期に、大正から昭和にかけて見渡す限りのリンゴ園に変わった。リンゴの最盛期には、豊富な品種のリンゴをよりとりどりに選ぶことができ、品種を組み合わせた贈答用の箱詰めは、リンゴの多彩な味わいを満喫してもらえる。
                     
 
中信  新たな可能性への挑戦

●「ピンクレディ」を日本へ
今や世界各地で栽培されるようになった「ふじ」。消費者の嗜好が多様化する中で、ふじだけで独走する冬越しのリンゴに新風が起こった。同時期に収穫するオーストラリア原産「ピンクレディ」の栽培だ。紅玉の収穫後、お菓子などの加工品に使えるため期待度が高い。(有)安曇野ファミリー農産の中村隆宣さん(安曇野市)を中心に今年3月発足したピンクレディ協会では、メンバーの園地に苗木を新植。ピンクレディを商標登録した現地の管理会社との契約で、栽培、販売に関わるロイヤリティを払う、日本の果樹栽培初のシステム。可能性を求める仲間たちが、一歩踏み出し、流れを変えて更なる夢へのチャレンジを続けるに違いない。

●次世代へ続くリンゴづくり
果樹栽培もご多分に漏れず高齢化による離農が増えている。中村さんは「リンゴ園は信州の景観のためにも地域で守りたい」と語り、栽培を引き受け“担い手”となっている。意欲ある新規就農者の受け入れは、平成5年から。コスト計算や生活環境などの農業経営を続けるための策を真剣に考え、率先して実行、指導している。一定の研修期間を終えた独立によって順調に家族を形成し地域に根付くことが、信州の自然環境を守りながら時代に則して産地を維持する礎になるだろう。

東信   育てる人、食べる人…
リンゴの木オーナーで食農教育
標高が高く、昼夜の寒暖の差が大きい東信のリンゴは、実がカリッとしまり、「ふじ」の密の入りも好評だ。立科五輪窪や上田神科などの産地を中心に、東信全域に果樹園が点在する。
佐久市前山の梅屋果樹園、臼田弌彦さんを訪ねた。臼田さんは農業専門誌にも記事が載る果樹栽培の技術者である。
      
減農薬栽培 
梅屋果樹園のホームページをみると、栽培状況がわかる。農薬を地域指導の1/2以下に減らしている防除法は、長い経験から生み出されたもの。農薬ごとに実使用量でコストを割り出し、薬剤と病虫害個々の効果の度合いを記録。いろいろなデータを分析して、使用の時期と薬剤を選んでいる。予察と経験による勘所。減農薬は農業生産のコストダウンの近道だという。
     
オーナー制の楽しみ
臼田さんが仲間3人でオーナー制に取り組み13年。200組以上の登録者との交流は大
変だが、花摘み、名入れ、収穫などで生育にできるだけ触れる栽培体験を企画する。佐久市を気軽に出向く第二のふるさとにしてほしい、と語る

仲間と力を合わせて
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仲間がいないと産地じゃない」それは、地域と共に生きる臼田さんの姿勢。受け入れできない時は他の園地を紹介し、長寿祈願のぴんころ地蔵や観光施設などの紹介にも力を注ぐ。
清水市や川崎市での観光イベントへの参加も定例化し、信頼を深めている。自分が育てたリンゴを自分で価値づけ自分で売る、仲間と重ねたその努力が実績を結んでいる。

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南信   農業体験や交流で顔の見える販売
リンゴの木オーナーで食農教育
中央アルプス山裾に位置し、東に南アルプスを一望する果樹の里、松川町。松川ICを下り右手の観光農園地帯に通称くまちゃん農園がある。リンゴ、ナシ、ラ・フランス、そして
サクランボを無化学肥料、減農薬50%で栽培する「特別栽培農産物」の認証農園だ。
園主の熊谷宗明さんは、農家が集まる勉強会で、農薬への警告を小説にした「複合汚染」と出合い衝撃を受けたひとり。生産者が自らの健康を考えた環境で栽培していることは、収穫物も安全なことを知ってもらうため、消費者との産地交流ツアーを実施している。
毎年、農事組合法人の仲間と「増野りんご収穫&交流会」を企画し、地域の宿泊施設を利用して気負いなく環境にやさしい栽培の現場を伝えている。

リンゴの木の年輪を受け継ぎ、順調に家族を形成する地域に根付いた営みが望まれる。明日への意欲が信州の自然を守り、時代に即して産地を維持する礎になるだろう。

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信州リンゴ  世界に誇るふるさとの味

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信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
 特集<2005.10/20号掲載>

外観の美しさから芸術品とさえ言われる日本のフルーツ。南北に長い日本列島は、四季折々に種類を替えて、旬のフルーツがその味を競っています。信州はくだもの王国。中でも、リンゴは青森県に継ぐ全国二位の生産高。当たり前のように身近にある信州リンゴですが、その魅力をもっと知ることで、特産品として誇れる価値を再発見してみましょう。

地産地消から特産品へ
  
最近、各地で農業振興や地域の活性化を目指した特産品づくりに力が注がれています。マコモタケやヤーコンなども知名度を増し、年々栽培者が増えているところ。ここで、見本になるのが「信州リンゴ」です。
長野県を代表する特産品までになった信州リンゴも、最初は苗木の栽培試験から始まったもの。栽培技術や品質の向上に伴って地元消費が定着し、ご当地自慢の味として贈答品などで全国に広がった信州リンゴの消費の流れ。特産品づくりの大切なポイントは、生産量と消費量、生産技術と流通ルートをバランスよく比例拡大させていくことにあります。
日本の自給自足率やフードマイレージ(※フード・マイル)の数値から地産地消の大切さに目が向けられている現在。リンゴをはじめとする地元の生産物を見直し、地元消費から特産品づくりを応援しましょう。
※ 食料の生産地から食卓までの距離をできるだけ近くすることが、輸送に関わる環境汚染を少なくする

エデンの園から現代まで   ~人類と共に歩んだ
                      りんごの歴史~


リンゴは人類ともっとも馴染みの深いフルーツ。「白雪姫」などの童話や神話、伝説にも数多く登場し、果物の総称にもなっていました。食用の歴史は古く、世界一の生産量のアメリカは生食用、フランスを中心とするヨーロッパは主にシードル用として栽培され、世界に25000種もあると言われます。

アダムとイブ
神の言いつけを守らず“禁断の実”を食べたアダムとイブ。神が「善悪を知る実」と禁じたリンゴを、蛇に「知恵の実」だとそそのかされたため、エデンの園を追われて人類の歴史が始まった、というあまりにも有名な旧約聖書の話。リンゴの花言葉は「誘惑」「後悔」

最古のリンゴ  
コーカサス地方の湖棲民族の遺跡から、4000年前に栽培されていたリンゴが炭化した姿で発見され、現在はスイス、ロンドン、ニューヨークの博物館で展示。

ウイリアムテル 
弓の名手だったウイリアムテルが息子の頭上にリンゴを載せて矢で射抜いた話。当時のリンゴは直径約3cm位だったというから、見事な腕。

ニュートン
太陽が惑星を引く力も、地球が月を引く力も、地球が地上の物体を引く力も、すべて共通の力である、という「万有引力」の法則をリンゴの落下を例にして表現。ニュートンのりんごの木の子孫が、沼津市に。

ペリーと黒船  
幕末のペリー来航による機械工業の文明開化とともに、リンゴを含む様々な作物もその後伝来。明治に入り、西洋リンゴの苗木が75種輸入され、130余年の品種選抜の歴史を経て、現在の「ふじ」「つがる」に代表される一級品に。
    
日本の歌    
戦後復興時代の日本で明るい未来へのイメージソングとして唄われた「りんごの歌」や「りんごのひとりごと」。リンゴは生活に潤いを与える存在の象徴。

みんな仲良し―――リンゴの交友関係
リンゴと相性のよい食品はいろいろ。爽やかさ、愛らしさ、奥深さ…、リンゴの持ち味が秋を魅了する料理に

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お菓子づくりには、酸味のある「紅玉」や「ジョナゴールド」を。リンゴの果実は、熟すと「油あがり」と呼ばれるワックスを排出。これはリノール酸(ビタミンF)なので、皮ごと調理をおすすめ。果汁は冷やすと甘みが3倍に。

[レモン]  
塩と同様にりんごの変色を防ぎ、皮の赤色も鮮やかになって相性抜群。
ジャム、フィリング(甘煮)には欠かさず入れて。

[ハチミツ] 
ドリンク、カレー、洋菓子に一緒に使うと上品な味。リンゴ酢ともドリンクに。

[クルミ]  
ケーキなどの洋菓子に組み合わせて。クルミをすってマヨネーズを入れた和え物は意外な相性。しょうゆを隠し味に。

[ヨーグルト]
リンゴの生食にも甘煮にもマッチ。食物繊維と乳酸菌が健全な胃腸づくりに。

[酢]    
生食はマリネや酢の物でさっぱりと。すりおろしてドレッシングづくりにも。

[豚肉]   
肉料理を香りよく、消化よく、さっぱりと食べる組み合わせ。
   

嗜好品から健康食品へ
         ~離乳食から介護食まで~

ヨーロッパのことわざで“医者を遠ざける”といわれるリンゴ。健康づくりへの栄養価や機能性は見逃せません。フルーツとして親しまれているリンゴですが、効果をひとつずつ挙げてみると、毎日の料理にもっと活用したくなります。

● 食物繊維(ペクチン
熟すと寒天と同じ水溶性に。糖尿病や動脈硬化を予防。下痢にはすりおろし、便秘には丸ごとかじって。
  
● リンゴ酸
糖分との相乗効果で疲労回復、精神安定に。

● カリウム
ナトリウムを排出して細胞の浸透圧を調整し、高血圧を予防。

● リンゴポリフェノール 
活性酸素を除去する抗酸化作用が老化やガンの予防に。

● アップルフェロン
虫歯菌が歯につきにくくなる効果があるといわれ、食後にリンゴを食べると効果的。

● アルカリ性
ビタミンC、食物繊維と合わせた効果が美容と健康づくりに。

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「離乳食」のリンゴ
デリケートな赤ちゃんの胃腸は、腸内細菌の種類も量も完全に育っていません。
ゴックン期からモグモグ期へと成長に沿った調理法で、加熱した食品を薄い味付けで刺激を少なくしてあげます。リンゴジュースは、赤ちゃんがミルク以外のものを口にする時に最適。
すりおろしから、薄切りへの変化は成長のバロメーターです。

「介護食」のリンゴ
病人や高齢者の食事は、体の免疫力がおちたり、そしゃくや嚥下が上手にできないことを考えた調理が大切。リンゴのペクチンが便通を整えると同時に、体内機能の活性化に役立つため、頻繁に食べてもらいたい食品です。

お菓子 
リンゴをいちょう切りにして、切りながら次々に塩水にさらして変色を防ぎ、水を切って鍋に入れリンゴと同量の砂糖をまぶし、焦がさないようにリンゴから出る水分で煮詰める。

さわやかスイートポテト
サツマイモをふかし、皮をむいてつぶし(裏ごしし)、リンゴの甘煮やナッツ類を詰めて形作る。表面に卵黄を塗ってオーブンで焼く。


アップルパイ
アップルパイは冷凍パイシートを使って手軽に。リンゴを煮たフィリングが一般的ですが、薄切りの生リンゴを敷き詰めて焼いたパイもフレッシュな食感。ホイップ生クリームを添えて。

     
揚げリンゴ三種
・ ギョーザの皮に甘煮を挟んで揚げる
・ 芯を取ったリンゴの輪切りにホットケーキの衣をつけて揚げる。
・ 春巻きの皮でせん切りリンゴとレーズン、シナモンを巻いて揚げる。

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あえ物・サラダ  

リンゴと鮭のマリネ   
スモークサーモンでリンゴのせん切りを巻き、マリネ液(酢・サラダ油・白ワイン各大さじ3)に漬け込む。

大根おろしあえ
いちょう切りのリンゴと皮をむいたブドウを大根おろしと甘酢で和える。

浅漬けサラダ
白菜(またはチンゲンサイ)の浅漬けといちょう切りのリンゴを混ぜ、刻みクルミを散らしてフレンチドレッシングまたは、キムチドレッシングで和える。

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肉料理・調味料

●アップルソース
ポーソテー 
①豚ロース肉は脂肪と赤身の間に数ヶ所包丁を入れて筋を切り、ワインをかけて塩コショウする。
②フライパンで豚ロース肉をこんがりと焼いて取り出す。
③②の焼き汁にリンゴのすりおろし(1/4個分)、しょうゆ(大さじ2)、ワイン(大さじ1)を入れてソースをつくり、器に盛った②にかける。

ポークカツレツ
豚ロース肉に溶き卵をからませ、パン粉とパルメザンチーズを混ぜた衣をつけてサラダ油で色よく焼く。③同様にアップルソースをかける。

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●隠し味

焼肉のタレ、カレーの隠し味に欠かせないリンゴ。酸味が味のバランスをよくして、まろやかな味に仕上げます。

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高原は夏、真っ盛り・・・④メスレー

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                 信濃毎日新聞社
                「週刊さくだいら」特集
                2002.8/8号掲載

夏の信州は自然の楽園。灼熱の太陽を浴びた果実は一気に熟し、そのおいしさを競っている。
のどを潤すフレッシュフルーツは、夏の水分補給には理想的。しかし、未熟で食べたり、過熟で味がボケていては、折角のおいしさも台無しだ。
フルーツをおいしく食べるキーポイントは、食べ頃を知ること。
生産者が丹精こめて育てたフルーツたち。完熟のおいしさを届けるための生産者の努力は、消費者が最高においしい食べ時を見極めて「おいしさの感動」を味わう時に成就する。


甘~いスモモは、短かい旬

メスレー     大里(小諸市)   
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「メスレー」…耳慣れない名のフルーツに出会った。
北佐久地域での出荷農家はただ一戸だけらしい。
「メスレー」それはスモモの一種。収穫期は7月末から8月お盆前。旬が短い“幻の果実”だ。


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たったひとりの生産者は、小諸市芝生田の関照雄さん。
約20年前、関さんがその名を記憶に留めぬままに植えた苗木が実を結び、そのおいし
さに感動したのが栽培の原点だ。
あまりにも旬が短く、流通に載せる難しさから知名度は低いが、完熟を冷して食べると、真っ赤な果肉がこれは甘い。
関さんは「ぜひ一度食べてもらいたい」と、その味を語る。メスレーは、実の先端が赤黒く色づき始めると食べ頃になる。

台木に接いで育てた原木。この一本が栽培の元となった。Photo_13

 










*完熟の実を加工すると、深紅の果汁を楽しめる*

  果実酒Dsc03015_3 Dsc03040_2                    フルーツソース

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高原は夏、真っ盛り…③プル-ン

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                 信濃毎日新聞社
                「週刊さくだいら」特集
                2002.8/8号掲載

夏の信州は自然の楽園。灼熱の太陽を浴びた果実は一気に熟し、そのおいしさを競っている。
 のどを潤すフレッシュフルーツは、夏の水分補給には理想的。しかし、未熟で食べたり、過熟で味がボケていては、折角のおいしさも台無しだ。
フルーツをおいしく食べるキーポイントは、食べ頃を知ること。
生産者が丹精こめて育てたフルーツたち。完熟のおいしさを届けるための生産者の努力は、消費者が最高においしい食べ時を見極めて「おいしさの感動」を味わう時に成就する。


地元で収穫期を迎えたプルーンは、生産者の顔が見える健康食品。
生食はもちろん、ジャムや果実酒でもふんだんに食べよう。

 プルーン    三分(臼田町)  
  
3年前に軽井沢で行なったあるアンケートでは、生のプルーンを食べたことのある人は、全体の1/3だった。ビタミンA・B、鉄分が多く、アメリカでは「ミラクルフルーツ」と呼ばれているプルーン。
干プルーンは年間通じて食べられている。

長野県は全国一のプルーンの産地で、長野地区と佐久地区で全体の8割を占めて
いる。
昭和40年の導入によって、始めて産地形成されたのが、臼田町。当時の苦労話を聞くと「雨による収穫期の実の裂果」「収穫適期の判断」に迷ったことだいう。
そこで、知恵を絞って考えられた当時の雨よけ施設が残る、清水正美さんの圃場を訪ねた。 

Dsc02862 清水さんの圃場では、樹齢30年を越す老木が今も実を結んでいる。樹木の根元を見ると、田で使う畔シートが巻かれ大切に保護されている。どの枝にも太陽の光が当たるように剪定され、樹間を充分にとって植えられているため、風通しもよい。
また、堆肥による土づくりにもこだわりがあるそうだ。

樹それぞれの味が違う、と語る清水さんは、定年前は高校の教師であった。
樹が育とうとする力に手を貸しながら育てる姿は、個性を大切に育てる教育の現場を思わせる。
清水さんは、老木になると味も円熟してくると言う。光、風、土による自然を守った栽培からは、ゆったりと自然体で生きる清水さんの姿が感じられる。

雨よけ栽培1
今では当たり前の“雨よけ”栽培技術も、栽培当初の試行錯誤から生み出された。
清水さんの圃場のひとつには、先代が栽培した老木と、当時の雨よけ施設が並んでいる。

雨よけを張る支柱は木の電柱だ。隣接する群馬県で買ったという電柱は、ドラム缶に
コンクリートで固定されて土に埋め込んである。清水さんは、今も変わらず役立てている。

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