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小麦粉を国産にしよう

農と食をつなぐ…地産地消のすすめ 

小麦粉を国産にしよう                                                 
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信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」 特集 <2009.8/20号掲載>

食料自給率が41%にすぎない日本は、食糧の奪い合いという世界的な食糧危機に陥ったときには、その影響から逃れることが出来ません。パンやケーキ、麺類で毎日消費されている小麦は、消費量の86%をも輸入に頼っています。国内各地では心ある人による小麦の生産が増え始めました。国産小麦粉を買うことで、使うきっかけをつくり、麦畑を増やす人の輪を広げましょう。

                                         

小麦の歴史と種類
小麦を食べる歴史は1万年以上も前からあり、人類最初の作物のひとつとされています。
小麦の種類は、栽培・色・粒の硬さで分けられます。「春小麦」「冬小麦」、「赤小麦」「白小麦」、「硬質小麦」「中間質小麦」「軟質小麦」です。
「硬質小麦」は強力粉と呼ばれ、パンや中華麺用。「中間質小麦」は中力粉としてうどんや乾麺にされます。長野県の小麦は、冬を越す栽培の小麦が多く、ほとんどが強力粉、中力粉です。
長野県の小麦栽培には、“日本一の小麦粉”といわれた輝かしい歴史があります。北信の川中島は米麦二毛作の肥沃の地で、今は希少価値になっている品種「伊賀筑後オレゴン」の名産地としても全国に知られていました。米を売り、裏作の小麦でつくったおやきや麺類を食べた食文化が粉食文化として残っています。

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小麦の品種
1986年にシラネコムギが品種登録されてから、長野県では次々に改良品種が開発されました。 
小麦は用途によって使いやすくておいしい粉が必要とされ、多収で栽培しやすいことも望まれます。優良品種は、将来の展望を大きく変えるものです。長野県推奨品種および認定品種の中の6種を紹介します。 
 
シラネコムギ
力強い味で、腰の強いうどんが出来る粉。たんぱく質が多く、そばのつなぎにも向く。

ユメセイキ
シラネに比べ、強稈で多収。穂発芽しにくい。標高800m以下が適地。麺向き。

フウセツ
中力粉の特性を持つ。耐寒・耐雪性、耐倒伏性もある。穂発芽しにくい。

ハルユタカ
風味や甘みが強く、もっちりした食感になる強力粉。優良品種ながら耐病性が劣る。

ユメアサヒ
長稈で倒伏にやや弱い。パン用硬質小麦でグルテンが多い。分けつが旺盛、茎数・穂数が多い。
ハナマンテン
早生の硬質小麦。強力粉の特性で、中華麺向きでゆで伸びしにくい。穂数が多く、多収。

農業を守るために栽培する…
自然豊かな長野県は農業県でもあります。農業は自然を守る側面と自然を失わせる側面の諸刃の剣の姿を持ち、森林や川、土を守るための強い意志とバランス感覚が大切になります。

D 浅間山麓の裾野は、高原野菜の一大産地。その美しい景観は、森林を守り、農地を守ることで維持することができるものです。山間地の農業は、健全な森林とその周辺の健全な生態系があってこそ、農作物の鳥獣被害も防ぎ、高品質の野菜が生産できます。
農業の持つ多面的機能は、洪水の予防、土砂の流失防止、地下水の涵養、気温の上昇緩和、自然環境の保全、景観形成、文化の継承などに現れ、信州の自然環境の保全に不可欠です。
生産者の高齢化が進む中で、残念ながら荒廃地や遊休地が増えています。

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中山間地域直接払い制度
平成12年から実施された中山間地域等直接払い制度。中山間地の農業生産を維持するための取り組みに交付金を直接払い、農業の多面的機能を確保する政策です。
急傾斜や、集落として5年以上農業活動をする等の条件があり、今年は制度の締めくくり年度として今後の継続を望まれています。

G 塩野中山間地事業組合
浅間ビューラインの普賢寺交差点角に塩野中山間地事業組合の拠点があります。
直売所と事務所、ビニールハウスが揃うこの場所には、周辺の集落から組合員が集まり、様々な活動を行います。塩野集落の活性化を目標に平成12年に中山間地域等直接払い制度を受けて始まった組合活動。この制度は条件として離農や耕作中断が許されないため、組合員は「集落協定」を結び、将来のビジョンを確認し合っています。
荒廃地の利用のためにコンバインを買い、大豆、ソバ、そして小麦を栽培して、まず組合員と地域で利用します。さらに地産地消の輪を広げるために、野菜などとともに直売所でも販売しています。

H 地域の子供たちや高齢者の皆さんとソバ打ちなどで収穫物を食べるイベントは地域の活性化につながります。小さな手がソバと小麦粉の手触りを体感するソバ打ちは、食育にも一役買っている活動です。

長野県産小麦の産地化を…
長野県では、「食料産業クラスター」と称し、新商品の開発を推進する協議会が設立されています。地域資源をつなぎ、活かすために、技術やアイデアを出し合って競争力のある商品を市場に送り出す目的を持ち、キノコ、プルーンなどの加工品が商品化されています。
県開発の優良品種が揃った小麦でも、製粉クラスターが設立されました。千曲市、長野市を中心とした地域でのユメセイキ産地化、松本地域でのユメアサヒ産地化、南信のハナマンテンの産地化も加えて、利用用途を広げる展開フローがあります。
  
製粉クラスターの取り組み
県内の二大製麺メーカーが共同開発し、長野県産小麦粉を使いやすい粉にして製パン・製麺業者、飲食店、地元消費者に提供しています。

無添加パンへのこだわりから…P 
小海町の国道141号沿いにある高原のパンやさん。おからパンなど、数々の健康パンを生み出してきた代表の品田宗久さんが、最近熱い目で製造しているのは「おらほの小麦」食パンです。
製粉クラスターに賛同し、県内産小麦粉(ユメアサヒ、ハナマンテン)、天然酵母、ふすま(県内産小麦)、天然塩、八ヶ岳の伏流水を使用。ふすまは最近の研究から食物繊維とフィチン酸による大腸がん予防が期待できそうです。

冬のために…仲間で作る楽しみを
今、南牧村野辺山は、農繁期と観光シーズンとが重なって、一年で一番忙しい季節…。
そんな時に、地域の仲間が集まって小麦の刈り入れと脱穀をします。

風雪にも耐えて実る麦
野辺山で栽培している小麦の品種は、フウセツ。当初、北海道以外の栽培は困難だといわれた耐寒性の品種です。標高1375mの鉄道駅最高地点野辺山は風が強く、厳しい気候。倒伏にも強いフウセツは正に「風雪」の名にふさわしい品種です。

冬の楽しみのために
野辺山の市川春子さんが所属する「Lipの会・ぺパーミント」は、農と食を学び、食品の加工などを実践・普及する会。鹿肉の燻製作りに挑戦したり、子どもたちと楽しむ愛育班のクリスマス会には小麦粉でうどんやお好み焼きを作ります。うどんのこしをだすための足ふみは、子どもたちが出番の作業。
売るための地産地消よりも、まずは自給自足の取り組みから。毎日使う小麦が国産になるだけで、食の楽しみや食料自給率は随分変わりそうですね。

粉文化の信州…地粉で作る郷土食
   信州おやき大集合…!
   
長野県の北部には、おやきを主食にしていた地域もあり、粉食の文化が今に残されています。 
長野市の家庭で使う小麦の消費量は日本一で、県内の家庭での消費量も一人当たり年間5.6kgで、全国平均の2倍以上になります。加工品も含めた小麦粉の全国消費量は一人約30数㎏ですから、小麦は生活に欠かせない食品ですね。
長野市で年に数回開催される「信州おやき大集合!」では、野沢菜漬け、切干大根、丸ナスなどの定番に加え、アンズやリンゴ、クルミなどを上手にアレンジしたものまで、盛りだくさんのおやきが並んで販売され、食べ比べを楽しめます。

O 長野市内のおやき店、直売所自慢のおやきです。焼いて蒸したもの、揚げたもの、実に工夫された素材と製法で独自の味を競っています。

     

地元産小麦粉と加工品

■(農)佐久産直センター(御代田直売所) 
御代田町メルシャン軽井沢美術館前のオートメカFKひろばにある直売所。有機肥料を使い、出来るだけ農薬を減らした栽培にこだわった地元農産物や加工品が並んでいます。

▼小麦粉Q_2   
「ハルユタカ」パンづくりに好適な石臼挽小麦粉。佐久楽農倶楽部、荻原徳雄さんらの栽培。
  ▲そうめん
   県内産小麦ユメアサヒ100%と沖縄の塩使用。

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■小海町農産物直売所S
国道141号線沿い、小海郵便局前です。臼田産の米粉(グルテン2割添加)と、佐久産小麦粉ハルユタカのセットがあり、ホームベーカリーで1.5斤のパンが焼けます。
    

■こうみゆうきちゃん倶楽部直売所T
国道141号線沿い、高原のパンやさん(小海本店)に隣接。「地粉うどん」は、小海産南部小麦と大分県産自然海塩(なずなの塩)のみ使用。6年無農薬無化学肥料で栽培しているわっか農園の小麦です。

 

直売所へ行こう! 地産地消「信州を食べよう」

キャンペーン参加の農産物直売所で農産物を購入し、「“旬”のスタンプ」を集めて応募すると、抽選で信州農産物をプレゼント!
【500円お買い上げごとにスタンプ1個を押印】

応募用紙は参加直売所にあります。

小麦を栽培してみたいときは…
栽培についての相談
長野県佐久農業改良普及センター
0267・63・3467
■ 種の入手先
嶋屋種苗株式会社
0267・82・3171
1㎏から販売。品種により入手できないものもあります。

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