地元産がおいしい…みずみずしい夏の味「スイカ」
信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
<2003. 8/ 7号掲載>
夏の信州は旬の味覚の宝庫。生産者はそれぞれに思いを持って、収穫の時を迎えている。
地元の生産者の作物を地元で消費する「地産地消」は、“顔の見える販売”としての安心感がある。トレーサビリティ(生産履歴)を語る時にもこの信頼関係は大きな支えだ。
地元消費が増えれば、生産者の意欲も増す。地産地消は、産地づくりの底力となり、農業従事者の拡大や地域の健全な環境づくりに役立つだろう。
夏の健康づくりに利尿効果
夏は食欲が落ちて栄養のバランスも崩れ、清涼飲料水などをガブガブ飲んでしまいがち。水分の補給は、ミネラルを含む昔ながらの麦茶やフルーツなどが理想的だ。
ウリ科のメロンやスイカに含まれる“カリウム”は、尿と一緒に余分な塩分を排出する働きがある。むくみをとったり、体を冷やす作用があるので、快適な夏を過ごす食のアイテムのひとつになる。
スイカ
スイカの大産地は、鳥取、山形、千葉県、県内では波田町などだが、地元佐久にも産地があることを知り、佐久市猿久保の秋山孝さんを訪ねた。
工業地帯や市街地が隣接する同市中心部で農地を守り続けている。
秋山さんに会うと、まず収穫したスイカを勧められた。
今年初めての味、夏が来た。
秋山さんは糖度計で甘さを調べたところ、糖度11.3。甘い。
気温が30℃以上になるとスイカが売れると言うが、うだる暑さの中で冷やして食べると、体が最高に喜ぶ味だ。
秋山さんは今年の初出荷を前に、味ののりを気にしている。
スイカの身上は、甘さとみずみずしさだ。
水はけのよい畑が適地。1株から4本のツルを這わせる(つる引き)。露地栽培なので7枚目毎の葉元の花を受粉させ、棒を立てて受粉日の印をする。メシベにまんべんなく花粉をつけないといびつな玉になるという。受粉は実に細かな作業だ。
受粉して実が大きく生育し始めると、一玉一玉の下に台座をおき、玉まわし(スイカの位置を時々変えて、日差しを均等に当てる)で黄色い部分を無くす。
重いスイカの収穫は重労働だ。適正な受粉や横芽をとる作業も味と品質をよくするためには欠かせないという。 スイカ雑学
スイカに含まれるL-システインやグルタチオン、シトルリンは、紫外線で傷んだ肌の回復やがん予防、腎臓病、糖尿病、心臓病などの改善に効果的。
加工品としては、果汁を煮詰めて作る「スイカ糖」や摘果した実を辛く漬けた山形の“ぺそら漬け”がある。和歌山特産「源五兵衛」は白い実で奈良漬にされる。
スイカは原産地をアフリカのカラハリ砂漠だとする説が強く、水はけの良い地を好む。
英語で「ウォーターメロン」というように、成分の90%が水分、残りは糖分だ。
スイカクッキング
スイカの実の白い部分を食べて、エコクッキング(環境に配慮した食生活)の実践を。
【スイカポンチ】
スイカを半分に切って中をくり抜き、一部を立方体に切って具にする。
残りはジュースにして、赤ワインを加える。半割スイカの器にジュース、好みのカットフルーツをいれる。(大玉で赤ワインは50cc位)
【豚肉とスイカの煮物】
スイカを食べた後の皮の外側をむき(1/4玉)、白い部分を食べやすく切る。
豚肉の角切り(200g)を油でいためてスイカを加え、酒(大さじ3)、だし汁(2カップ)、みりん(大さじ1)、砂糖(大さじ1)で味付けする。
【貝とスイカの酢のもの】
スイカの実の白い部分をせん切りにして塩でもみ、青柳やゆでたエビなどと三杯酢であえる。
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