高原の太陽と実りの豆…「モロッコインゲン」
信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」特集
<2007. 8. 9掲載>
最近、その機能性が評価されて消費が増えているマメ類。外食や手軽な中食(テークアウトやデリバリーなど)が増えている現代の食生活は、ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取が必要とされています。共働きが増え、時間に追われる暮らしのさまざまな負担を考えると食の外部化も仕方がないこと。とはいえ、高カロリー、塩分過剰が引き起こす生活習慣病やメタボリック症候群は未然に防ぎたいものです。家族の食生活にどんな問題点があるかを知り、栄養のバランスをコントロールするのが、家庭の食事。地元の農業生産物を知り、不足しがちな野菜や豆類、乳製品をしっかりとって健康な暮らしを守りましょう。
モロッコインゲン (小諸市)
浅間山のすそ野に広がる準高冷地地帯では、モロッコインゲンが産地化されている。
別名「軽井沢いんげん」。サヤの幅が広い豆で、煮物、天ぷら、ゆでてサラダ・あえ物に、と料理用途は広い。コリコリした食感と甘みの濃さが持ち味だ。
産地化されて10数年になるが、小規模作物の産地維持には地道に続く継続の力がある。これからさらに産地としての拡大を図ると聞き、生産者の関英則さんを訪ねてみた。
関さんはJA佐久浅間でブロッコリーの共選の検査員を務めながら、農業を営んでいる。
農業生産はいろいろな情報に接して勉強することが大切だと語る。
関さんの畑は栽培者の中では高地(標高850m)に位置し、小諸市西部の傾斜地にある。
モロッコインゲンの畑の間に水路が流れ、干ばつに弱いモロッコインゲンに豊かな水を与えている。案内された畑では、一部無肥料、無農薬の栽培に取り組み中だという。
緑に覆われたその部分は、畝の間にムギが植えられている。
マメ科作物は基本的に窒素肥料が少なくても栽培できるため、雑草よけのマルチの役割も果たすムギを刈りながら畑に循環する試みをしている。関さんは、酵素資材の葉面散布と合わせてその効果を期待している。
収穫の作業は母とみ江さんの日課となっている。
毎日の農作業だからこそ、できる限り農薬を少なくした栽培は人にとっても理想的。
大産地では叶わぬ無農薬栽培も、可能な規模での実現は期待できる。
一人一人の取り組みの広がりが、環境にやさしい農業技術の発展をあるべき方向に近づけるに違いない。
マメ豆知識
豆を食べてマメに健康で暮らす
インゲン、エダマメ、キヌサヤ、スナップエンドウ等など、マメ科の作物はいろいろ。マメ
科は、キク科、ラン科に継ぐ大きなグループで、最近、健康野菜として知られてきたアピオス(アメリカホドイモ)もイモの様なマメ科の作物である。
栽培
マメ科といえば知る人ぞ知る「根粒菌」。根粒菌が空気中の窒素を固定させて土に供給するため、昔は土づくりのためにマメ科植物を栽培して作物の養分として役立てていた。
田舎の原風景だったレンゲ畑もマメ科のレンゲ草を田に植えてすき込み、緑肥にするためのもの。窒素量や効き方には注意が必要な方法でもある。
栄養
マメ類はサヤとマメを食べるため、野菜と豆の栄養を効率よくとれる。
サヤを中心に食べるマメ類はビタミン、ミネラル、食物繊維源となり、実を食べるマメは、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラル源となる。
また、穀物に不足する必須アミノ酸を含むため、穀物と豆の両方を食べるだけでもバランスのよい栄養がとれる。
生の豆は、シアン配糖体やサポニン、フラボノイド等の有毒物質を含むが、煮ると取り除かれ、発芽状態(モヤシ)になると分解されてホルモンやビタミンCに変化する。
夏はひんやり………冷蔵庫でおいしさづくり
夏の冷蔵庫は野菜をおいしくする調理道具。
浅漬け、お浸し、煮浸し等などが野菜の歯ざわりや口当たりを良くし、持ち味を引き立てる。スープやデザートも冷製で。
モロッコインゲンの冷シチュー
深めの皿にゆでたモロッコインゲンを切って並べ、具を小さく切ったホワイトシチューを中心に盛って冷蔵庫で冷やす
モロッコインゲンのサラダ
ゆでたインゲンにアンチョビーソースをかける。ソースは、アンチョビー(1缶)とオリーブ油(50㏄)、おろしニンニク、塩コショウをすり鉢に入れてすり混ぜ、みじん切りのパプリカを混ぜる。
揚げてサクッと、ビールの友に
モロッコいんげんのロールフライ
モロッコインゲンを芯にして、ハンバーグと同じ種またはマッシュポテトでロールをつくり、 衣をつけてフライにする。
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