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特産品「信州リンゴ」をもっと食べよう

                信濃毎日新聞社 「週刊さくだいら」   
               特集 食生活を見直す Part6
                                     <2006.11.2号掲載>
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紅葉の山々とたわわに実ったリンゴの果樹園は、信州の秋の原風景。この秋、旬を彩るいろいろなリンゴを満喫していますか。特産品の原点は地産地消。身近な地域の大地と水で育った自然の恵みを食べて、住む人々が健康に暮らせることが食の本来の姿です。高齢化時代の健康生活にリンゴの機能性は欠かせないもの。自然と共に生きる環境を守ることは、生産の現場と作物を理解し、健全に暮らすことから始まります。

特産品ならではの多彩な品種
  
【早生種】 祝、シナノレッド、さんさ 

【中生種】 つがる、あかぎ、千秋、秋映、シナノスイート、紅玉、北斗、アルプス乙女、ジョナゴールド、ゴールデンデリシャス、陽光、シナノゴールド、王林、

【晩生種】 ふじ

          
★リンゴ三兄弟★
数年前から長野県が推奨している新品種。それぞれの個性を発揮し、新しい販路が拡大している。

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シナノスイート 
「ふじ」と「つがる」の交配。多汁で甘みが強く酸味は少ない。台風に強く、貯蔵性もよい。   

シナノゴールド 
 「ゴールデンデリシャス」と「千秋」の交配。歯切れがよく多汁で爽やか。一年貯蔵できる期待の品種。青森県では昨年より台湾輸出を試みている。

秋 映     
「千秋」と「つがる」の交配。甘みが強く多汁。当初9月の収穫だったが、深紅になる10月を収穫適期と知り、味の本領が発揮された。

*リンゴ栽培をささえる果樹試験場と篤農家
リンゴが特産品に育つ歴史の影に、栽培技術の前進と品種改良のたゆまぬ努力が存在する。
産地が次世代に継続躍進するために軽んじたりおろそかにしてはならないことのひとつに、農業の現場での試験研究がある。

■病害虫と闘う歴史
長野県でのリンゴ栽培は、風土になじみ明治時代に各地に広がったが、10年も経たないうちに病害虫の防除を強いられるようになっていた。明治三十年に農事試験場が発足してから、県内の篤農家のもとで命がけの農薬の委託試験が行われ、現在のSS(スピードスプレアー)による農薬散布への歴史をたどる。今年はポジティブリスト制の導入もあり、農薬散布による病害虫防除は、消費者が好む品質と安全性との狭間で生産者を板挟みにしている。

■技術が産地を安定化
リンゴ栽培で重要な技術のひとつに剪定がある。大正時代に青森の篤農家の技術指導を仰ぎ、剪定による技術革新によって生産性が驚異的に伸びたという。現在は、わい化栽培(樹を低く仕立てる)や草生栽培の研究(土の流亡防止や土づくりをするために適した草類を植える)、土着天敵や性フェロモンによる環境にやさしい害虫防除など、果樹試験場での研究により新しい技術が産地に提供されている。

■品種改良が産地を活性化
味のよさ、育てやすさの追求や品種改良の魅力を追って、リンゴの品種は変遷してきた。
「秋映」の開発者、小田切健男氏(享年57歳・中野市)も新品種への夢を追い求めた育種家のひとり。「千秋」の育てにくさを取り除き、「つがる」と味の良さをミックスする交配の可能性への挑戦だった。そして生まれた秋映は、標高が低い平地で寒暖の差が少ない地域でも色づきがよく、産地の収益性を高める品種となり、普及拡大、消費も拡大し始めた。25年の長き開発の歴史に今、光が当たっている。

北信  食べ比べて旬を満喫 
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長野から小布施、豊野に続く国道18号線、通称アップルラインのリンゴ園が続く一角に
アグリながぬまの直売所がある。リンゴは水害や霜に強いため、この低湿地帯は明治終わりの水害による米の凶作を期に、大正から昭和にかけて見渡す限りのリンゴ園に変わった。リンゴの最盛期には、豊富な品種のリンゴをよりとりどりに選ぶことができ、品種を組み合わせた贈答用の箱詰めは、リンゴの多彩な味わいを満喫してもらえる。
                     
 
中信  新たな可能性への挑戦

●「ピンクレディ」を日本へ
今や世界各地で栽培されるようになった「ふじ」。消費者の嗜好が多様化する中で、ふじだけで独走する冬越しのリンゴに新風が起こった。同時期に収穫するオーストラリア原産「ピンクレディ」の栽培だ。紅玉の収穫後、お菓子などの加工品に使えるため期待度が高い。(有)安曇野ファミリー農産の中村隆宣さん(安曇野市)を中心に今年3月発足したピンクレディ協会では、メンバーの園地に苗木を新植。ピンクレディを商標登録した現地の管理会社との契約で、栽培、販売に関わるロイヤリティを払う、日本の果樹栽培初のシステム。可能性を求める仲間たちが、一歩踏み出し、流れを変えて更なる夢へのチャレンジを続けるに違いない。

●次世代へ続くリンゴづくり
果樹栽培もご多分に漏れず高齢化による離農が増えている。中村さんは「リンゴ園は信州の景観のためにも地域で守りたい」と語り、栽培を引き受け“担い手”となっている。意欲ある新規就農者の受け入れは、平成5年から。コスト計算や生活環境などの農業経営を続けるための策を真剣に考え、率先して実行、指導している。一定の研修期間を終えた独立によって順調に家族を形成し地域に根付くことが、信州の自然環境を守りながら時代に則して産地を維持する礎になるだろう。

東信   育てる人、食べる人…
リンゴの木オーナーで食農教育
標高が高く、昼夜の寒暖の差が大きい東信のリンゴは、実がカリッとしまり、「ふじ」の密の入りも好評だ。立科五輪窪や上田神科などの産地を中心に、東信全域に果樹園が点在する。
佐久市前山の梅屋果樹園、臼田弌彦さんを訪ねた。臼田さんは農業専門誌にも記事が載る果樹栽培の技術者である。
      
減農薬栽培 
梅屋果樹園のホームページをみると、栽培状況がわかる。農薬を地域指導の1/2以下に減らしている防除法は、長い経験から生み出されたもの。農薬ごとに実使用量でコストを割り出し、薬剤と病虫害個々の効果の度合いを記録。いろいろなデータを分析して、使用の時期と薬剤を選んでいる。予察と経験による勘所。減農薬は農業生産のコストダウンの近道だという。
     
オーナー制の楽しみ
臼田さんが仲間3人でオーナー制に取り組み13年。200組以上の登録者との交流は大
変だが、花摘み、名入れ、収穫などで生育にできるだけ触れる栽培体験を企画する。佐久市を気軽に出向く第二のふるさとにしてほしい、と語る

仲間と力を合わせて
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仲間がいないと産地じゃない」それは、地域と共に生きる臼田さんの姿勢。受け入れできない時は他の園地を紹介し、長寿祈願のぴんころ地蔵や観光施設などの紹介にも力を注ぐ。
清水市や川崎市での観光イベントへの参加も定例化し、信頼を深めている。自分が育てたリンゴを自分で価値づけ自分で売る、仲間と重ねたその努力が実績を結んでいる。

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南信   農業体験や交流で顔の見える販売
リンゴの木オーナーで食農教育
中央アルプス山裾に位置し、東に南アルプスを一望する果樹の里、松川町。松川ICを下り右手の観光農園地帯に通称くまちゃん農園がある。リンゴ、ナシ、ラ・フランス、そして
サクランボを無化学肥料、減農薬50%で栽培する「特別栽培農産物」の認証農園だ。
園主の熊谷宗明さんは、農家が集まる勉強会で、農薬への警告を小説にした「複合汚染」と出合い衝撃を受けたひとり。生産者が自らの健康を考えた環境で栽培していることは、収穫物も安全なことを知ってもらうため、消費者との産地交流ツアーを実施している。
毎年、農事組合法人の仲間と「増野りんご収穫&交流会」を企画し、地域の宿泊施設を利用して気負いなく環境にやさしい栽培の現場を伝えている。

リンゴの木の年輪を受け継ぎ、順調に家族を形成する地域に根付いた営みが望まれる。明日への意欲が信州の自然を守り、時代に即して産地を維持する礎になるだろう。

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